2014年4月19日土曜日

海外研究生活 現地編10 ~体験談・若手研究者の苦悩~

今回は私が見聞きした研究者の体験談。
いづれ日常生活についてもまとめたいと思ってます。

こちらでの滞在も8ヶ月を越えて、残り4ヶ月を切りました。
実際に海外で研究生活を送っていく中で、色々な価値観が得られました。

それが良かったのか悪かったのか、今の私にはわかりません。

帰国する頃には答えが出ているのかも知れませんし、
私が定年する頃にようやく答えが出てくるのかもしれません。

今回は、実際に見聞きした、日本人若手研究者の苦悩についてまとめさせてもらいます。
ここでの若手研究者の括りは、大学院学生~40歳までのポスドクにしておきます。

全部、デメリットです。デメリットしか書きません。

もちろん、メリットだってありますが、私もそうでしたが、
“実際にこちらに来るまで、どうしても海外を美化してしまう” のです。

私も海外経験を積みたくて海外に飛び出しました。
全国津々浦々のアカデミックポストの採用に海外経験が活きるかなんてわかりません。
実際にそうかも知れませんし、そうじゃないかも知れません。

ただ、現実を書きます。どう判断するかはお任せします。

私は、日本から給与を貰って○年後に強制的に帰らなければならない条件でない限り、
安易に海外に出るものではない、と考えるようになりました。

海外研究所に雇用されてバリバリ研究を進める。カッコいいけど現実は違うんだな、と。
それでも飛び出すなら日本には戻らない!という覚悟が必要だと思います。


  • Case 1  突如、ボスが居なくなる…
ビザの更新のために日本に一時帰国。2ヶ月ほどアメリカの研究室を留守にした。
アメリカに戻ってみると研究室内は騒然。ボスがデンマークのポストに移ることになっていた。
研究室はどうなるのか…、さすがにデンマークには付いていけない…。

  • Case 2  いまだに日本の業績が形にならない
日本で行っていた研究をアメリカで論文化。
ただ、共同研究者間で揉めて折り合いが付かず、
数年たっても論文化の見通しが立たない。
アメリカに来て以来、日本のボスだった人の面倒見が希薄になる一方。
面と向かって直談判もできず、国際電話で格闘するしかない。
日本での業績が一向に挙がらない。アメリカの業績ばかりでは…。
これでは、つながりが大切な日本の研究界に戻れないのではないか。

  • Case 3  延長に次ぐ延長。いつ帰れるのか
海外で長期滞在するために日本の民間財団からの援助を獲得。
2年間の予定で渡航するも、2年後には帰ってくるな、アメリカで研究を続けろと指令。
1年間はボスの国プロから人件費を賄ってもらうが、さらにアメリカで研究を続けろと指令。
海外学振を当てることができたので、さらに2年の滞在が決定。
来年の4月で帰国できるのか。ボスがプロジェクト当てたら、さらに残れと言われる…。
そうなったら、どう残ればいいのだろうか。いつになったら帰れるのだろうか。

  • Case 4  日本に適応していけるのだろうか
中学までアメリカで育った日本人 (帰国子女)。
日本の高校生活ではなくインターナショナルスクールへ。
大学はアメリカに戻ることを決めて留学。大学院前期課程まで行った。
今秋で卒業。家族は日本に居る。
日本の大学院 (医学部) へ海外編入を狙うが…大丈夫なのだろうか。


  • Case 5  我が子を日本に残して

国プロの一環で海外研究機関に1年間滞在することは避けられない。
旦那も同業者。すでに1年間滞在は終えた。理解はしてくれている。
3歳と1歳の子供が居る…が、避けては通れない。
このタイミングで母親が不在になるのは心苦しい。
スカイプで連絡するも、寂しそう、義理の母に気を遣う子供が不憫でならない。

  • 番外編 私の話で恐縮ですが…
海外でバリバリと研究していても、それぞれの悩みはあります。
私も、海外経験が武器にならずに、色眼鏡で見られていく十字架になるのではないかと
正直、危惧するところもあります。

アメリカにくれば、色々な刺激を受けて、世界観が広がる?
そんな訳ない。言葉が英語になる部署移動と大して変わりません。
日本で新しい環境に身を移すのと大差ありません。

アメリカにくれば、最新鋭の研究設備で華々しく研究?…できたらしてるわ!(笑)
それが現実だったら日本では及ばないくらい、アメリカの科学技術は発展してます。
日本よりスケールが大きくて、設備がやや充実しているくらいです。

それに、凄い焦ります。浦島太郎になるのが怖くて、情報収集に必死になります。

海外経験なんてこないで、公募に目を光らせて、
狙いを定めて速攻で動けるようにしておいた方がよかったのじゃないか、
そんな公募は頼むから帰国するまで出てくるな。
毎日届く、JREC-INの公募情報メールを読むのが恐る恐るになります。

それでも海外研究を行う価値があるのかないのか。
答えは簡単です。自分次第。自分の努力や行動、運でYes/Noどちらにもなります。

研究職は自分の選んだ道です。嫌だの何だのいうつもりはありません。
ただ研究職の中でも、やっぱり感覚が違っていることだってあります。
少しでも現実が伝われば。

0 件のコメント:

コメントを投稿